「消滅世界」
村田沙也香さんの「消滅世界」。
何が「消滅」しているかというとセックスですが、セックスだけ消滅して他は変わらないなんてことはないので、もちろんセックス以外にもいろいろ変わります。まず夫婦間の恋愛感情はなく、さらには恋愛感情そのものが消え、性欲はクリーンルームで処理するものとなり、子孫は家族単位でなく人類でのこすものとなります。
ぶっ飛んでるといえばそれまでですが、常識なんてほかの常識から見ればぶっ飛んでるに決まっている。そして常識は作られたものに過ぎずいつだって変化して、それが当然のものになる。村田さんの作品にはこのテーマがいつもあるように思います。ただ「消滅世界」に関しては詰めこみすぎな印象を受けました。変わりゆく世界について想像したことをそのまま書いたような。これも変わるあれも変わるのはわかるし理解はできるけど、単純にテンポが早いです。こういうテーマには短編が向いているのかもしれません。アイディアありきなところがあるので、長く書けば書くほど設定がごちゃごちゃする気がします。